「日本のチベット」とも呼ばれた集落跡地。圏外・買い出し激難・お風呂なしの、不便を楽しむ野営の聖地。
早池峰山の麓、川のすぐ横に位置するため、大雨時の急激な増水リスクには常に気を配る必要がある。熊などの野生動物の出没リスクも高いエリア。電波はほぼ圏外で、買い出しできる店も一切ないため、宮古・遠野市街地での事前準備が生死を分けるレベルで重要になる。
5月1日のオープン直後はまだ残雪・肌寒さが残ることも。冬季通行止めが明けた直後の静けさが魅力の時期。
清流・薬師川での水遊びや渓流釣りが盛況だが、虫(アブ・ブヨ・蚊・蛾)が最盛期を迎える。突然の大雨による急激な増水リスクにも常に注意。
紅葉が美しく、気候も安定する季節。10月31日のクローズに向けて、静かな野営を楽しみたい常連が多く訪れる。
11月上旬〜5月中旬は積雪のため道路(市道横沢荒川線・県道25号紫波江繋線)が通行止めとなり、キャンプ場自体も営業期間外。
タイマグラキャンプ場は、かつて「日本のチベット」とも呼ばれたタイマグラ集落の跡地にあり、圧倒的な静寂と満天の星空、透き通った清流の薬師川が最大の魅力。高規格化が進む現代のキャンプシーンにおいて、昔ながらの「野営」を愛するソロキャンパーやベテランキャンパーの聖地となっている場所だ。
その魅力の裏側には、電波がほぼ圏外、場内にお風呂・シャワー施設が一切なく、周辺に商店やスーパーも皆無という、現代のキャンプ場としては極めて不便な現実がある。買い出しは宮古市街地か遠野市街地で山に入る前に完全に済ませておく必要があり、道中も道幅の狭い険道が続くため運転にも注意が必要だ。
不便さを楽しむためのキャンプ場、と言い切れるほどの割り切りが必要になる。初心者にはハードルが高いが、それを補って余りある大自然があり、野生動物と虫(警戒度5/5)への備えさえ万全にすれば、他では味わえない静寂と星空が待っている。
タイマグラは「廃村跡」ではなく、実は今も数世帯が暮らす集落だ。桶職人や、宿主が営む山小屋「フィールドノート」など、独自の生業を続ける移住者たちの営みが今なお息づいている。昭和63年(1988年)に日本で最後に電気が通った集落として知られ、ドキュメンタリー映画「タイマグラのおばあちゃん」の舞台にもなった歴史を持つ。かつては早池峰山に登拝する前夜、身を清めて一泊する「宿」「宿の平」と呼ばれていた場所でもあり、キャンプ場から見える早池峰の稜線には、そうした信仰の歴史も重なっている。単なる不便な秘境ではなく、人の営みと信仰の記憶が今も生きている場所だと知ると、静寂の質感が少し変わって見えてくるはずだ。
「不便を楽しむ」タイプの無料野営地としては、一関市の岩手・秋田県境にある「真湯野営場」も比較対象になる。どちらも熊の目撃情報が多いエリアだが、入浴のしやすさとアクセスのしやすさには大きな差がある。
※フリーサイトは予約不要(現地受付)です。常設テントのご予約・お問い合わせはキャンプ場管理棟(0193-78-2031)まで。バンガロー・ケビンは別途バンガロー村管理棟(0193-78-2769)へ。